印象の『恋空』/がらんどう
 

『恋空』とは多分こんな話なのだと思う。

おそらく、時は西暦20XX年、世界は核の炎に包まれたのだと思う。文明は崩壊し、モヒカン刈りの悪漢達が暴虐の限りを尽く無法の世界となっているのだと思う。だが、こんな時代にこんな愛が、この物語はそういう物語なのだと思う。女の名前はミカ、男の名前はヒロ、文明が存在していた時代であれば高校生くらいの年代であるのであろうが、彼らはおそらく核戦争で減少した人口を回復するという崇高な使命を背負って日夜生殖に励んでいるのだと思う。文明は崩壊しているのであるから、彼らの言語がひどく貧しいものになっていたとしても驚くには当たらないのだと思う。

おそらく、モヒカン
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