初夏の記憶/花田春菜
 

独り まだ梅雨も明けぬ縁側

線香花火に灯をつけて

霧のような雨を照らし出す


ここよ わたしはここにいる


ぽとり 落ちた灯の哀しさに

夕暮れが霞んでいたのを

今でも鮮明に覚えている


微かな胸の痛みとともに。
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