その先に/クロイソラ
土曜の夜、繁華街と呼ばれる町を僕は一人歩く。
ネオンが眩しいその町には欲望が渦巻く。
その欲望を避けるように、下を向き僕は歩き続ける。
その先に何があるのか?
僕は知っている。
でもその先に行きたいわけじゃない。
欲望渦巻くその町は僕の鼓動をかき消してくれる。
丁度いい。
心地言い訳じゃないが丁度いい。
その先にあるものを隠してくれる。
その先に行く僕を包み隠してくれる。
欲望を捨てきれない負け犬の僕を、
包み隠してくれる。
ふと顔を横に向けると、繁華街には一切似合わない少女が一人。
僕と目が合った。
何か不思議
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