さよなら世界/ホロウ・シカエルボク
けの音楽をぬかるんだ足跡に変えながら
森の空気は豊かで、肌寒いけれどまろやかだった
どれほどの時間歩いていたのか、光はほんの少し憂いていたけれど
街の中で感じるそれよりはずっと穏やかだった
地面は次第に緩やかな乾いた平地へと変わり
ずっと先木々の途切れるところに
まっさらなセロファンを広げたみたいな青色があった
僕らは冬の森を行くあてなく歩いていた
けれど理由にはなんとなく気がつき始めていて
あのまっさらな青いセロファンの下には
きっとそれよりも少し重たい印象の青色をした凪いだ海があって
そして
さよなら世界
僕らはそこから別のものになる
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