夜のさかな/銀猫
 
わたしは夜を求める
濃紺の空と赤い星を求める

きみは夜を求める
藍の雲としろい月色を求める

ふたりが求めた夜の中で
風見鶏は廻ってゆく
流れ着く先を知らず
また
愛情、の何かも知らず
緩やかな褥を求める


わたしたちは
過去にさかなであったかも知れない
少し濁った水に分け入り
そこに茂る苔をついばむ、
ちいさなさかな

透明な水は
少しばかり痛い
夜の灯りが矢のように刺さってしまうから

(ああ)

なのにわたしたちは夜を求める
月明かりに照らされる、
銀の鱗を誇るように
背びれをくねらせ
遠い朝に怯えながら
星を追う







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