賛辞/
藤原有絵
僕が地球の裏側に行くまで知らなかった真理を
産まれ落ちた瞬間に すでに携えた人もいる
羨んで
贈った賛辞の
純真さ
いかほど
虚勢をはって
したり顔でからっぽな優雅さ
誰にでも通用する
言い訳 なんて
本当は無い事を知っていました
「猥雑さ」で塗りたくられた
この思いの外重た気な両腕を
洗い流してくれたのは
誰でもない
僕の中で息を殺し
まだ生きてくれていた
僕自身
でした
震えながらも
まだ生きてくれていた
僕自身
だったのです
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