賛辞/藤原有絵
 
僕が地球の裏側に行くまで知らなかった真理を
産まれ落ちた瞬間に すでに携えた人もいる

羨んで
贈った賛辞の
純真さ
いかほど

虚勢をはって
したり顔でからっぽな優雅さ

誰にでも通用する
言い訳 なんて
本当は無い事を知っていました



「猥雑さ」で塗りたくられた
この思いの外重た気な両腕を
洗い流してくれたのは


誰でもない


僕の中で息を殺し
まだ生きてくれていた

僕自身
でした

震えながらも
まだ生きてくれていた

僕自身
だったのです





戻る   Point(2)