鼓動みくまく/木葉 揺
 
がる顔たちを目の当たりにす
ると、とにかく両手でライトをさえぎり「見
ないで、見ないで」とゼスチャー。すぐに地
の底から重低音溢れる。懇願するように袖を
見ても、しっしと圧力あるのみで、押し戻さ
れる姿にまで、また地はクツクツ沸き始める。
マグマよ、人間は安らかに居たいのです。思
い上がりを詫びるから、今しばらく無関心で
いて。呟きながらヘリを待つ、グランドキャ
ニオン一人ぼっち。

待ち続けることの心身への悪影響は知ってい
る。だから足を滑らせる前に眼下の世界を丸
めてころん。対話をし損ねて仰いだ両手が体
にからみつく。ねじれゆく自分自身。糸車の
切っ先はもう、黒点にしか帰れなくなるんだ
ろう。だけど美女が眠る毒性を黒点が許すは
ずもなく、意地悪な二択をしかけてくる。し
かもその出題を六十字以内で説明しなきゃ帰
ることもできない。だから大きい2番の問3
て嫌いなのよ。そう呟き、ふと職員室の日本
シリーズに全運命を託す。ああ、トランペッ
トが大気圏を破った!

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