これは詩か否か/一筆
おまえの書いているものは
詩じゃないと言われたことがある
手垢のついた表現を嫌うあまりに
簡単には読めも書けもしないような字を使い
日常聞いたこともない古い蘊蓄を込め
一読では理解できない斬新さを披露する
そういう「技量」のない言葉は
詩とは言わないものだと
誰かに何かを伝えたくて言葉を求める者と
言葉を超えて表現の果てを目指す者とでは
互いに思い描く夢が違うだけだ
同じ心がひとつもないように
同じ言葉も読み取る者に幾千の顔を持つ
誰が何をどう定義しようと
言葉を綴る者は自分の中に
外へ向けて表現せずにはいられない何かを抱いている
これは詩か否か
そんなことはどうでもいい
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