校舎パレット/ゆうさく
 
揺れた草っぱらが
秋に、さらわれて
そのまま
教室をふきわたったという

走り去った青春は
秋とミスマッチに
交尾した

ミシミシと音がなり
ブラウンを
かもしだす校舎を
うっとりして見てると
空気の最期まで見えた

開けっ放しの窓が
手洗い場を
見事に殺している

雨雲の果てが
かすかに見えて、
こわくて窓を閉めた

孤独の証明が
できてしまった

静寂があたりをひしめき
ぼくは、
逃れられない

(そのまま、
(浸ってゆく

廊下の、ずっとずっと
向こう側に、
ぼくの指先で
せかいを、えがく
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