眠り/
 
眠り屋さんは
眠りの入った小箱を持って
二匹の猫とやってくる

猫の鈴が ちりんと鳴る

箱の蓋が かたりと動く

眠りの箱
いいにおいのする小さな秘密

わたしが以前 買った箱には 赤い金魚が入っていたよ

夕暮れ時の薄闇に
眠り屋さんの鈴の音
朝には消えてる
眠りの小箱

わたしがうとうとした隙に
赤い金魚は逃げ出した


あれから
赤い金魚を見ると
眠くて眠くて仕方ないのです


戻る   Point(3)