「ロスト」/菊尾
あの時今が終わって
あの時過去が始まって
君から無口を添えられた
何も無いのは綺麗すぎて
目に眩しいから
僕はうつむいて
それでも歩いていた
感情が無い体はただ重たくて
二人はただの塊になったんだ
琥珀色の心臓は冬の空気で冷やされて
お互いは呼吸すらままならなくて
かじかんだ手が痛さを伴っていた
ひきずる事だけで生きてきた
明日を無理矢理こじ開けてきた
誰にも見せれなくて
そのままは続けられない事分かっていたんだ
あの時なんて言ったんだ
あの時は声じゃなく音でしか残ってない
君の匂いが僕は好きだった
ある寒い日に
互いの体温も忘れて
僕らはまた産み落とされたんだ
ある寒い日に
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