「 ナナメ。 」/PULL.
からか。頷くほどに斜めになりながら、駅員は続けた。それなら仕方ない、切符を貸しなさい。駅員は懐から改札鋏を取り出し、切符の端にかちゃりと、鋏痕を入れた。急ぎなさい、あなたの列車はもうすぐです。駅員の声に押し出されるように改札口を抜ける、階段を駆け上がる。階段は登るごとに傾き、それに落ちないように踏ん張りながら登ると、また、ずれる感じがした。握り締めた手の中の切符はさっきよりも傾き、鋏痕の角が、手のひらを刺して、いた。
ホームでは列車がすでに到着していた。切符に書かれた番号を確かめ、車両に乗り込む。ずんっ。合わせたように列車が揺れ、発車した。外の景色が、ゆっくり傾き、流れて、ゆく。扉を閉め、
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