さなぎから妖精/ヨルノテガム
空っぽの隙間から大きな羽が伸びてくる
わたしの持っていない羽
わたしの知らない羽よ
おまえの青さはわたしの青さとはまた違った発芽である
壊してやりたいほど、優しく触れたい
*
妖精の糞尿は可愛げのある、ちょっと変わった
燃えるようなタンポポの綿毛であった
それは元のさなぎの殻の中にでも
隠していていいんじゃないか
でもまず 妖精がしたことは
わたしに燃える綿毛をお尻から どうだとばかりに
落として見せたことであった
*
おまえは飛んでいく
わたしの見つめられない所まで飛んでいく
ただそれだけの経過なのだが
もう何かわけわからなくなってくる
存在、分身、化身、
ただ見つめ思い返すことは
グロテスクな毒々しい殻を
するりと抜けて
青赤い妖精が
羽を広げて
座って
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