さなぎから妖精/ヨルノテガム
 




グロテスクな毒々しい殻を
するりと抜けて
青赤い妖精の影が
座って
暗い真夜中にさなぎの柔軟が止まり
瞬く間に羽の大手を弱々しくも
スラリと伸ばし



毒の情熱を身に焼き付けた いも虫は 
血を流しながら いや、血を秘めて
皮膚の中に若い乳房と顔形の正体を隠し押し黙った
お前は窮屈で悪魔的な呪文を身に宿した身体から
防備を外した ムキ身の卵のような丸みに変化する
果たしてお前の中身は変わっていたのか
戸惑いはわたしたちを性急さに陥らせない
もっと長く、もっとゆっくり、
闇に咲いた妖精の素肌を泳がせよ

蠢く虫の こと切れた停止の中で、

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