無能の遠吠え/松本 卓也
偏平で退屈な日常
注ぎ込む情熱などありもしない
単に認めたくなかっただけの
小僧が夢の中で吠えている
嘆きが聞こえる気がするけれど
そりゃきっと気のせいだ
人生 君らが思うほど
美しくも儚くもない
色褪せた思い出に
切り貼りされた彩色を
振り返っても虚しいだけ
好き勝手に脚色を施して
無味乾燥な凡愚が書き上げた
嘘っぱちに涙するほど
生憎心は枯れちゃいない
底に無いリアルが痛いほど沁みる
置き去りにされた当たり前が
手前勝手な幻想に塗り替えられ
泣いているのがよく見える
審美眼が欲しいだなんて
嘯いてたガキはいつの間にか
小さな歯車の運命を享受して
ただ老いに身を任せるのみ
とはいえ、
世間よりも百倍性質の悪い
弱者が同情という武器を根拠に
モラルを貪る現状が真ならば
僕は此処になど居たくない
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