この雨は かつて海だった/繭
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押しつぶされそうな
空気の圧迫感
まるで両側から
弾力のある何かに挟まれ
ゆっくり飲み込まれているよう
雨が降っている
どしゃ降り
カミナリ
昼間なのに夕方の雰囲気
独特の 物悲しさ
こんな日は
いつも 記憶の奥の奥
海底で沈黙していた難破船的記憶が
少しだけ頭をもたげる
誰の物とも知れない記憶の断片が
わたしの意識下にアクセスしてくる
遠い前世の記憶か
または
偶然波長が合った誰かの思いか
全く知らないことなのに
思い出す まるでデジャヴ
水の粒子が
自分の記憶を
無差別に撒き散らす
雨の日
敏感なわたしは
それを感じすぎて
とても眠くなる
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