ダンス(同じ小節)/ホロウ・シカエルボク
なくなった虫を探している
もう暖かくなることは無いんだ
草っぱらの向こうにでも身を潜めればいいのに
欲しがれば欲しがるだけ
傷は深くなるんだよ
凄く晴れた、と言っていた
凄く晴れたと、ラジオが
電池が切れる少し前に
凄く晴れたと言って
死んだように黙った
それを死と言えば言うことは出来た
でも俺はもう思春期のほとりには居ない
すべての言葉は並べるだけ真意に反比例する
僅かに絶望を指した窓越しのヤモリの影
明日は晴れるのかい、おまえはもう
顔を上げることはないのかい?
乱雑に仕立てられたコートのようなステップ、影までが迷って
影までが迷って
忘れられない壁のいくつかの残像
ダンス
ダンス
同じ小節を
何度も何度も
おまえは間違い続ける、だけど
そのことを否定しはしないのだ
閉じこもる自分を素敵だと信じているみたいに
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