「通る人」/菊尾
 
どこからか浮き出た熱は
日にちが幾つ捲られても抜けてはいかない。
やがて余分な角が削られて
体内の一箇所に集約されてしまいそう。
どうせなら胸がいい。
熱源となっているこの場所から感情が生まれていく。

「足音が聞こえないから。」
理由を呟いて君が動く姿を見ている。
理屈が嫌いだと君は言う。
誰よりも自分が頷きたいだけだから。
誰かが敷いた道を歩いていく気にはなれない。
はねる君を僕はまだ、ほぐす事が出来ないでいる。


日付けが変わる事。
木々の色が落ちて街に明りが灯ったり
どこかで鳴る空砲や
ハトが舞い上がる公園の午後も

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