かぜのいれもの、のなかで/たりぽん(大理 奔)
 

墨絵のようにマーブルな空のそれらをみあげる

   ぐるぐると、雨雲にあわせて視界がまわる
   そらが、からっぽの大きな入れ物だと知らされ
   目の前を流されていく鳥の影のように
   /ふこうでもなく、しあわせでもなく/ぼくら

冒険はいつでも危険だらけだ
轍(わだち)の谷底で、車輪を避けながらため息をつく時
未踏の淵で、谷底を見下ろし立ち竦(すく)む時

   おそろしい遠雷を背中で冬と聞きながら
   まわる、三つ葉のメトロノーム
   この胸の小さな温度と
   /ゆっくりでもなく、はやくでもなく/鼓動に

冒険はいつでもはじまるのだろう
そらの、世界の広さを知るためではなく
自分が生きているという姿を乗り越えるための


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