かぜのいれもの、のなかで/たりぽん(大理 奔)
墨絵のようにマーブルな空のそれらをみあげる
ぐるぐると、雨雲にあわせて視界がまわる
そらが、からっぽの大きな入れ物だと知らされ
目の前を流されていく鳥の影のように
/ふこうでもなく、しあわせでもなく/ぼくら
冒険はいつでも危険だらけだ
轍(わだち)の谷底で、車輪を避けながらため息をつく時
未踏の淵で、谷底を見下ろし立ち竦(すく)む時
おそろしい遠雷を背中で冬と聞きながら
まわる、三つ葉のメトロノーム
この胸の小さな温度と
/ゆっくりでもなく、はやくでもなく/鼓動に
冒険はいつでもはじまるのだろう
そらの、世界の広さを知るためではなく
自分が生きているという姿を乗り越えるための
戻る 編 削 Point(11)