遠吠え/佐々木妖精
 
アキアカネが交差する橋の上で
アワダチソウを足蹴に
三つ指で餌の羽をむしり
魚を釣る様を眺め

その時私は
強さを知っていた
釣り上げたウグイが夕日を掻く様を
ヒグラシの伴奏に乗せ
ケタケタ笑って眺めていた
私は力を体現していた

力とは
虫の訴えに耳をかさないことであり
植物の悲鳴を想像せず踏みつけることであり
焼け焦げた魚を
猫に与えることでもある

私は誰にも食べられたことはなかったが
あらゆる有機物を
物にして食っていた
そのまま腹を満たしていれば
いつか人を食っただろう



人は
なんでも食べます
あらゆる生き物を分からなくして食
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