「花」/菊尾
嫌い
好き
嫌い
好き
嫌い
最後に好きが残った
あの頃の気持ちは大人になるにつれて
汚れてしまったり
自分から手離したりしてしまったけど
人を純粋に真っ直ぐに好きになる気持ちは
まだあたしの中で生き続けている
今日はあの花を探しに出かけよう
押し花にして手紙を書いてみよう
前髪をサイドに流してピンで留めて
スエード調のパンプスを履いて外へ出た
自転車があたしの前を通り過ぎていく
車輪の影が一瞬だけ足に重なった
太陽はもう、あんなところ
秋があたしを歩かせてくれる
心の中で呟いて
あたしは前を見て
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