青く煙立つ祭壇/atsuchan69
 
――夢だ、
霧氷に覆われたトパーズを砕き
経血に染まる白鳥の羽を散らして
辛気くさい柄の絨毯に零した
グラスの割れる夜の激しい物音。

イミテーションパールの首輪を、
女は掻き毟るように乱暴に千切って捨てた

言葉巧みな蜘蛛の巣に絡みつく
不潔な蚤と虱と、砂埃と、
性質(たち)の悪い霊の憑依した博愛。
その僅かばかりの美徳と
石の冷たさが人の心だった

 ( 既に話した計画どおり、
 密会への伏線を街中に張り巡らせた

一匹の子猫を抱いた優しさを屠って、
一発の銃声と硝煙、
一瞬で世界は崩れ落ちる

もはや信じるに価しない幻想の愛に
黄泉へとつづく僕
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