誰も居ない砂丘/狩心
スコープを覗き込み
ライフルの照準を合わせると
かたかたと震える枠
心の動揺が、この絵の中に
弾丸として込められている
誰も居ない砂丘
水色の空と肌色の丘が
現実と幻想を美しいコントラストで描き
境界線は曲線のみで
全てを曖昧にしようとしていた
風が吹き、小さな砂の粒が転がる
空は渦を巻き、砂の粒を吸い上げていく
大きな柱がゆっくりと姿を現す
一つ、二つ、三つと、砂の柱は増えていく
そこにぶつかる風が、ゴゴゴと唸る
空から、そして砂丘から、
白く巨大な歯が生えて
噛み締める顎の運動が
がしゃりと
風景を粉砕した
それはもしかしたら
弾丸を装填す
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