人待ち唄/
 
湯屋から帰って来らした姉しゃん
唐に行くげな言っとらる
母ちゃん死んであともなく
父ちゃん床に詰めたまま
そして抱えたおどみゃたち
婆が銭手に姉しゃん誘う
おまんま食えると二返事
必ず錦を飾るけと
ようよう旅立つ背中越し
おどみゃの後ろで吠え裂くお前
泣く子はぜげんに引っ張られるど
泣くなよ笑わば手を振って

おろろんおろろんおろろんばい

姉しゃんな何処に行ったろかい
米炊き野良であかかがり
その手でおどみゃを包んでは
一息ふうと吹きかける
これで霜朽ち治るけと
笑った顔が陽に映える
海の向こうは見えやせん
手々ば離すと危なかろ
そげに泣くなら唐まで
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