ルビのなかにきみはいない/佐々宝砂
 
ルビのなかにきみはいない
もちろん
カタカナばかりの心地よい音の連なりのなかにも
つまり説明しなくちゃ
きみには決してわからないだろうけれど
いやきっと
説明したってきっとわからないんだけれど

詩と書いて「うた」と読もうが
詞と書いて「ことば」と読もうが
そんなこととは無関係に
詩は詩であり詞は詞だってこと
心をココロと書くことだってそう
いやひょっとしたら民俗学的表記なので
あるいは生物学的表記なので
それでカタカナなんだろうかってのは絶対うがちすぎで
こころはこころ
もっともわたしはそもそも
"kokoro"という音の響きを好まない

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