晩秋 光と影/草野春心
 


  陽の光に彩られた 晩秋の木々
  かれらは本当に生きているのだろうか?



  けれども木々は光を吸い込み
  晩秋の風にゆれ
  命の大事な部分だけを使って
  そこに存在していた



  きみが今どれほど幸福か気づいた

   *

  この晩秋の午後
  ぼくだけを包む光の粒子
  その中をぼくは歩いた



  でもやがて
  夕暮れに伸びたぼくの影が
  木々の影と交わって……



  そこでぼくは立ち止まっていた
  いつまでも立ち止まっていた


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