いくつかの心象/結城 森士
[六月の午後の雷雨]
放課後/定時/時折
石造りの教会に足を運ぶ
窓に打ちつける激しい雨
外ではまだ幼い葉が風雨に圧され
ぐっしょりと頭を傾げていた
それを見て
窓際でしゃがみこんだ僕の影は
そのまま頭を挙げようとせずに
身動きすら出来ぬほどの憂鬱を
幼いタンポポの葉に託した
薄汚れたステンドグラスや
みすぼらしいシルエット
それを見た
やがて地に響く
ゆっくりとした足音と共に
少しずつ稲妻が近づいて来る
その様子をただ眺めている
激しく打つ雨、暗雲、雷鳴
枯渇した感情を揺さぶることなく
ただ潤してくれる
誰もいない聖堂で
激しく打ちつける雨
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