『白昼夢』/
 
目の前をまやかしが通り過ぎる
風よりも音よりも
僕の瞬きよりも速く

それはストロボのように断続的に
僕の網膜に焼き付いて
意識は360度の振れ幅でひっくり返る


もっと駆け巡ってくれ
この煩悩を揺さぶって
白黒でシマシマな構想を
内側から粉々にぶち壊してくれ

もっと駆け巡ってくれ
指先まで痺れるくらい
単調で平坦なこの肉体を
爆音をのせたノイズで突き破ってくれ



眼球はソレを捕らえない
僕は直感で理解する
生も死も
善も悪も
僕はただ手を伸ばして
両の眼球を握り潰す


もっと駆け巡ってくれ
この脈動で恍惚の裏側へ堕ちるまで

もっと駆け巡ってくれ
ほどばしる感情で
黒焦げの心臓が動きを止めるまで


立ち尽くす刹那の間
白昼夢が終わるまで


さぁ
駆け巡ってくれ…………
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