「水滴の午後」/菊尾
ラ ラ ラ
って、雨が降り始めた
数える 頬に当たる奇数の雨粒だけを
次第に高揚していく私の手は
洗面器に張った水を揺らして減らしていく
掻き乱して、掬いあげて、
零れ落ちる様を、見立てる
ミルク色に包まれながら
私が見上げたのは、
やはり、天井の水滴
滲み込んだその想いも
ただ、「いつか」を待つばかり
余る事が解っていた割り切れない感情を
排水溝に注いだ
形を崩すことなく辿り着くのはどの場所だろう
何処へ着いても
一部になることは、寂しいこと
夢を見るのなら眠りは恐怖の対象
夢は私を幸せに蝕んでいくから
このような現実でも幾分かは感謝できるから
私は今を、落下しながらも進んでいる
着地点なんか、望まない
海のような夜を漂い
雨を身に纏う
舌と下を絡めた時のように
私は浸水して
誰かに降り注ぐ
落ちて、、
弾けて、
円が音と共に広がっていく
水滴の午後
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