架空少女事典/たもつ
 
い、い、い、いいえ違います、アメリカンショートヘアのタマでした
アメリカンショートヘアのタマはいつも唇がカサカサなまま遺跡を発掘している
その唇には一頭の駱駝が昼寝をしていて、い、い、い、い、い、いいえそれは
ブロッコリー
緑に茹で上がっている
あまりに美味しそうだから父さんは賛美歌を歌いだす
履歴書を駅のベンチに忘れてきた僕の父さん、妹は毎晩旅をしています
ビタミン不足はお肌の天敵よ、が口癖の母さんは今日も北枕
その足の先にはJR内房線、そして線路を走る僕の妹、い、い、い、い、い、い、い、
いいえ、走っているのは「特急さざなみ号」だ
乗客は皆、目を瞑った等身大の埴輪、発掘者であるアメリカンショートヘアのタマは
自慰のし過ぎで存在が真っ赤に破裂してしまった
ビタミン剤を傷口に塗る僕の指先から百科事典の香り
妹よ、そろそろ帰っておいで
ブロッコリーを食べに




戻る   Point(12)