獏の喰う夢/朽木 裕
軋む骨 滲む血
白い皿の上に横たわる 頭部のない私の死体
当然の帰結のように
導き出された答えのように
あるいは悪い夢のような日常を終わらせるみたいに
夜毎 夢の中で惨殺される私は
まるで生きていては駄目だと云われているようで
聞こえない耳鳴りがやまなくて
命が痛いと叫ぶのだ
ヴェルヴェットの部屋にまろやかな骨のような白い皿
解体される哀しみは夢から覚めても尚続き
痛い、痛いと叫ぶ命
生きていてもいいですか?
誰に問うでもなく声は震えて
獏に食べられない悪い夢を幾つも抱えて生きている
目覚める毎 皿にまみれる命
痛い 痛いと
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