ふとした思い出/生田 稔
これは詩ではない
でも詩ということにしとく
14歳万引きで警察に捕まって
3人のうち俺が主犯だと
引き受けて
それにはいろいろ事情があった
万引きでも相当大きいのだった
裁判所に母と出頭
女の監察官が
俺が主犯じゃなかったことを知って
内緒にしとく言い
俺が上品な子だと
言ったと母があとで伝えてくれた
ずっと後になって
その監察官の娘さんに
勉強を教えた
覚えていても何もなら無い記憶
その方は母の幼いときの
知り合いだったという
運命のめぐり合わせに
じっと身をひきしめて
今夜も聖書をひとしきり
学んだところである。
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