形/アンテ
吸う
ドアに背を向けて立っている
まぶしそうに目を細めて
傘を持って
あたしを見て
いる
ワンピースのすそが
足もとにまとわりつく
思わず
手で押さえて
回転
ぜんぶ嘘なんでしょう
恋人のこともカードのことも
身の上話も
大学に通っていることも
自分の都合で
猫を殺したりして
あたしが
あなたになんて興味がないこと
知っていたくせに
リエちゃんは無言で
部屋のドアを開ける
向こう側には
草っ原が広がっている
アパートの部屋はどこへ行ったのだろう
ドアをくぐる
陽射しがまぶしい
「ほかはぜんぶ
消えちゃったんです」
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