失意/松本 涼
 
何色もの絵筆を洗った様な
川の底に積み重なる
限り無い顕示欲

夜更けの鼓膜を這う
暴かれる為に在る嘘の
衰弱した響き

愛する人と見知らぬ人の境目を
見失わせる極日常的な失意

混濁した憂鬱が夢を見る
湿った土に横たわる
湿った枯葉たちの眠り

跡形も無く溶けるまでの



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