起きぬ翁/udegeuneru
 
吉野家でじじいがぶっ倒れていて
救急隊員と警察が何人か集まってた
どこか弛緩したような空気
まあこの人らからすれば日常茶飯事なのだろう
また道往く人は無関心で
じじいがここで死のうが復活しようが
自分の人生とは何の因果もない
などと、いちいち考えてはいないが
無意識でそう判断している
果たしてそうだろうか?
俺は死んでるかどうかだけでも見とこうと立ち止まり
覗き込んで様子を見たけれどあまり分からない
隊員の膝の上で動かないじじい
俺は警察と隊員に訝しげな目で見られ
そのまま立ち去った
じじいの生死と俺の精子には
何の因果もない
きっとそうだろう
立ち去る俺

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