[:nation/プテラノドン
 
車のなかで吸い込んだ夜気と煙が
真っ赤な嘘だったら、もしそうだとしたら、
一体、煙の何パーセントがメロディで出来ているのか。
芯の抜けたロウソクに再び炎をともすには、
かざした手の平を何と呼ぶべきか―僕らは
何度も質問しあった。それからあるとこないとこ
地面を突っつきまわす、灰色の鳥たちのように
そこらを書き殴って歩いた。それらは
跡形もなくなった。人知れず。まったく、
くたびれた分岐点だ。かつて母の日に僕は、
花屋の配達員をしていた友人から譲り受けた
カーネーションを母親にプレゼントした。
今や庭に植え替えられたそれを見るともなく、
母親は覚えているだろうし、
記憶はくたびれない。ってところか。


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