この頃の空/霜天
この頃の空は
随分と遠いみたいで
息遣いもまた遠い
高いビルの天辺からでも まだ
空に穴があいているらしい
遠くない繋がった場所で
風船に針を突立てるみたいに
シューシュー音を立てて
漏れ出してしまうんだろうか 僕等
縮こまった僕の上で
雨粒が加速する
頬を打つ痛みは
いつか触れた懐かしさ
雨が降ったら傘を差す
破っちゃいけない法律みたいに
いつから思っていたんだろう
ずぶ濡れの少年は僕の顔
にっと笑われた気がした
入道雲の沸き立つ青は
随分と遠いみたいで
息を止めて駆け上がった丘の
視界いっぱいの青に
少しでも似ていればと
傘を忘れた6月に思う
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