個人の「経験」から世界の別の顔へ/岡部淳太郎
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僕があのコメントにこめた意味は経験主義者たちを否定するというよりは、そういう人たちにもっと違った方向から世界を見る方法もあるんじゃないかという提案をしているというのに近いです。世界は様々な顔を持っていて、個人が経験したものだけが経験ではないし、個人が感じる世界だけが世界ではありません。これはもう自明のことと言ってもいいかと思いますが、時に人はそれを忘れることがある。世界が多様で自分の小さな頭脳では思いもよらないような側面を見せることがあるということを失念してしまう。それは彼が自らの拠って立つところの「経験」を信じすぎるがために起こることなのだと思います。だから、そのように自分の眼でしか世界
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