それで手に取ったミルクはどんなふうに始末をつける?/ホロウ・シカエルボク
 
がうことで壊したくなるものだろう、だけど
それが感情だの衝動だのといった定型的な罠だった場合
タオルを乳臭くしながらうんざりするような結末しか残されてはいないのだ
―そしてそれは幾日も記憶の範疇にとどまっているようなものではない
葛藤なんて時代遅れだよ、ねえ君
いまはコンピューターソフトウェアがうたを歌い始める時代だぜ
ベートーベンの執念は水の泡になっちまった
血を吐くような思いなんてもういらない
観念的な完成のために机を殴りつける時代は終わった
廃れてゆくものに特有の妙な涼しさだけが
あらゆる手段で世界に垂れ流されているんだ、俺はそれを絶望だなんて言わない
それとこれとはた
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