透明だけど、在る/ku-mi
黒板の粉が
午後の日差しの中で踊ってた
あたしもその消された文字の一粒で
キラキラと笑っていたんだ
ブラウスの隙間から
風がこぼれないように
37℃の痛みを飾って
眼鏡越しに見える世界には
モノグラムのような詩を飾った
どこまでも伸びてく夕暮れの影
ふたつ並んだら
今にも墜落しそうな空
短い爪も短い前髪も
あたしを無力にする
足りない傘の数
満ちてく河川のそばで
君の名が溺れていた
あの日の、帰り道のこと
栞からひらいた古い記憶
消えかけた文字の一粒にあたしがいて
はにかみ笑った、午後の日差しの中。
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