初冬/さき
足元が霞んでいく
進むごとに
そんなこと
とっくにお見通し
突き出した指の先
新しい冬の風が
舐めていった
夢を見てたんだ
極彩色の
鮮やかな天国
ああ
過ぎていった季節
枕についた
涙の跡に
少し慰められて
夏の寝苦しさを見送った後の
寝床を片付ける
日常
が当たり前だなんて
いつのまにかそんな不遜を
この場所
が退屈だなんて
そんな思い上がりを
どうして許してしまっていたのでしょう
確実なものなんて
ないの
と
肌の下の細胞と共に
死んでいった
私の光
幸せばかりが人生じゃない
幸せばかりが人生じゃない
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