絵が枯れる日/
本木はじめ
痙攣している右手で
聞いたこともない山々や
見たこともない街並みを描く君
僕はくだらない登山家として描かれ
どんな街並みなのか見ることもなく
いつまでも登り続けている
だけど君の手が震えているから
今にも落下しそう
空が曇ってきた
背後から
君の手を強く握りしめる誰かの影で
君の流す一滴の涙で
僕が
にじんでゆく
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