詩集に纏わるエピソード (2)/深水遊脚
 
を取り上げた詩が2つあって、ひとつはトイレでふんばりながら「日々は糞とともに流れていく」と独白し、パンツの隙間から落ちた子どものウンチなどコミカルなエピソードを語るような詩だった。もうひとつが引用した詩である。主に母親が行っている父親の介護であるが、これを言葉にする著者も真剣に向き合い、取り組んでいるのだ。これらの詩があることで、絆をみつめたかったのかもしれないという著者の姿勢が真実として伝わる。私にはそう思えた。「生きるとはそういうことだ」という詩行の何と力強く、美しいことか。他者に向き合うということのほんとうの意味がそこにあるようだ。


(続く)
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