世界/もも うさぎ
誰かに頼まれて
夜のオフィスに出掛けた。
最寄りの地下鉄の駅は
アールヌーヴォーのオレンジ灯で
ひとがたくさん歩いていた。
あなたを知ってるわ、と 話しかけられ、惑い、通り過ぎる。
そのオフィスに行くのははじめてで、
自分がなんの仕事をするのかも分からなくて
とりあえずガラスのドアを抜け
最上階の部屋まで上った。
そこは窓一面がガラス張りになっているところで、
影のようなひとたちがたくさん、仕事をしていた。
あたしはガラスから外を臨むようなデスクに座るように促され、
鉛筆と、方眼紙を渡された。
そこにはたくさんの目盛と基準が書き込まれ、
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