アデン 一/soft_machine
らみえる細い目とつり上がった口は笑っていた。
棒の男はビルのうえに虹をかけおわるとおおきなあくびをして、背のびしたらたくさんの色でギラギラした板に棒をおいてたばこを吸いだした。そうやってしばらく四角をながめたあとたばこをバケツにほうり込んでじゅっとさせたあと立ち上がり、四角をもってこっちにむかって歩いてこようとした、そこでようやく僕に気づいてちょっと驚いたみたいだ。四角をもとの場所にもどし、神さまの使いにしては、そう言うといすに座りなおして僕を見た。
「うす汚れてる」
こんな失敬なことばを聞かされるなんて思ってなかったから、僕はきっとにらんでやったけれど男は知らんふりしてギラギラの板を布でごしごし拭きだした。そんならすねでもひっかいてやれと思ったら、ごしごしやってる布からまたあのにおいがしたんだ。この部屋のにおいになれた鼻にもいちだんとはっきりして、その正体は男がギラギラの板を拭いたよごれた布をあたらしいのに変える度にビンから布へ注がれるコハク色した液体だった。
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