5分/
見崎 光
胸の高鳴りは
音を遮り
研ぎ澄まされた神経を
秒針に乗せた
煙草の煙が
静かに揺れる
高さの違う肩は
鼓動を揺すり
目線も上げられぬまま
呼吸を戻す
長さの変わらない煙草の先は
聞こえぬ景色と
同じ時間を流す
一点の場所
一体の存在
体の震えを解くように
秒針は声帯を運ぶ
煙草が終着を迎え
名残を惜しむ
絡み合う空気と横顔
柔らかな感覚が
背中を引き留める
零れた愛おしさと共に
ガラスの靴も残せぬまま
鐘はまた
ひとりを抱きしめさせた
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