心眼の瞼/殿様が得る
私には心が二つある
一つは己自身を意識する心
一つは周りを意識する心
どちらが欠けてもいけない
私ではなくなってしまう
あの太陽も己を意識し、周りの星を意識しているのであろう
己が崩れぬように、周りにとって丁度良いように、熱を解き放っている
己が見えなければ周りも見えない
周りが見えなければ自分も見えない
この関係は万物に不可欠なのだ
あの雀は啼く
己を意識して啼く
他の雀を意識して啼いている
しかし、雀は自分の姿を知っているのであろうか
自分の足の裏まで見えているのであろうか
全てを知った時、全てが見える
私は己自身の全てなど知り得ない
だから私には壁の向こうや、月の裏側は見えないのだ
人の姿が見えるくらいが丁度良い
自分の肌の色が分かれば良い
ライオンだって
ペンギンだって……
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