本/小原あき
 
人間臭さが入り交じって
異様な臭いがする

少しふらつきながらも
生きようとする姿勢は
少しだけ淋しさを含んでいる

手に取ってみると
じっとりして汗をかいているようだ
だけど、体は縮こまっていて
寒くて仕方がないようだ

リサイクルショップは
寒い朝の駅の待合室みたいで
家を無くした人たちが
寒さを凌いでいるのに似ている

晴れて欲しい
透き通る空気みたいに
晴れて欲しい









幼い頃に行った
商店街の
小さな書店に並べらた本は
みんな
あんなに生きて

印刷の匂いが
午後の心地よい風になびいていて
いつも
穏やかな
日溜まりだった










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