荒れ野/
木立 悟
小さな声が唱いはじめて
蒼や銀を手わたしてゆく
朝へ朝へ手わたしてゆく
かなわぬ願いが
めぐり めぐり
冷えた片目に添う耳となり
雨の行方を聴いている
手の空と背の空のはざま
何もない地をすぎる空白
丘の水と わずかな緑と
遠い雨に照らされる
おのれを隠さぬ痛みのなかに
砕けゆくもの 星を追うもの
またひとつ またひとつ
荒れ野を越える
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