せんちめんたる・ふーる/凛々椿
いつか彼が
窓枠にもたれかかって
初秋の移ろいを見つめていた
そして手を振った
優しい時間があったこと
思い出していた
雨が降り続いていた
ぱらぱら
窓の向こうで泣いていた
昨日はうまく寝つけなくて
ぼんやりしていた
そうして ブラウン管を眺めていた
雨が降り続いていた
少しだけ眠った
静かに闇の中に黄緑色の光が点滅していた
いつもなら放っておくのに
寝ぼけながら光を受け取った
00時06分
言葉が並んでいた
悲しい言葉が並んでいた
22時29分という時間を忘れることはないだろう
雨が降り続いていた
眠れなかった
雨が泣くのをずっと聴
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